日本酒に魅せられて-日本酒を知る 日本酒の種類

日本酒の種類

多種多様な日本酒の種類 それだけに魅力がいっぱいありますね。

日本酒は、長い間、親しまれてきた日本酒の級別制度(特級・一級・二級)は平成四年(1992年)3月31日で廃止されました。
今はその製造方法や原材料によって分類する「清酒の製造品質表示基準」による特定名称酒と、広く一般に愛飲されている日本酒があります。
特定名称酒には三種類あり、また、製造上の特徴からも分類できます。

「日本酒読本」 日本酒造組合中央会発行 より
国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要より

日本酒の種類 片口とぐい呑み

日本酒の定義

日本酒(清酒)は酒税法という法律で製法を定められています。酒税法では「米、米麹と水とを原料として発酵させて、こしたもの」と定義されています。

酒税法

  • イ、米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
  • ロ、米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
  • ハ、清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

付記事項としてなぜか「アルコール、糖類、少量の酸、グルタミン酸ナトリウムなどの添加」が許されていいます。(酒の定義法律はこんなのばっかりですね。)

広辞苑での清酒の定義

「①日本の代表的な醸造酒。蒸した米に麹・水・酒母を加え、発酵させてもろみを造り、これを搾り、濾過して製する。淡黄色で特有の香味がある。 ②澄んだ純良な酒。すみざけ。(反対語:濁酒(どぶろく)」と定義されています。

特定名称酒による三種類の分類

吟醸酒

精米歩合60%以下の白米と米こうじ及び水、またはこれらと醸造アルコールを原料として吟味して造ったお酒で、固有の香味及び色沢が良好なものです。
低温でゆっくり発酵させ、ていねいに造ります。(吟醸造り)
フルーティーな吟醸香と淡麗な味わいが特徴です。


純米酒

精米歩合70%以下の白米と米こうじ及び水だけを原料として造ったお酒で、香味及び色沢が良好なものです。文字通り、お米だけで造られたお酒です。
米のうまみを生かした風味が特徴です。


本醸造酒

精米歩合70%以下の白米と米こうじ、醸造アルコール及び水を原料として造ったお酒で、香味及び色沢が良好なものです。
すっきりとした味わいが特徴です。


製造上の特徴から分類(自主基準表示)

法規定ではないのですが、以下の清酒製造業界の自主基準表示があります。
ただし、これらの名称は生産者の自主基準ですので、守らないといけないわけではないらしい。

生酒

清酒の製造工程では、貯蔵前と瓶詰め前のそれぞれ一回づつ計二回、加熱殺菌(火入れ)を行いますが、生酒は一切、火入れをしません。
酵母や酵素が生きていて、しぼりたてのフレッシュな味と華やかな香りが特徴です。


生貯蔵酒

製製成後火入れをせずに低温で貯蔵熟成をして、出荷時に一度だけ熱処理したお酒。


しぼりたて・新酒

しぼったばかりのお酒をすぐ出荷する商品。フレッシュでフルーティな香味が楽しめ、旬の日本酒を味わえます。その年の1号もろみは「初しぼり」と呼ばれています。


冷卸(ひやおろし)

秋に一夏熟成させた新酒を貯蔵桶からそのまま樽詰めしたもの。現在では出荷の時に加熱処理をせずにビン詰めしたものを言います。


樽酒

木製の樽で貯蔵し、杉の樽に貯蔵することによって、杉の香りが移った特有の風味を持ったお酒をビンに詰め替えたもの。


原酒

できあがった酒に加水せず、アルコール度数を落とさないもの。貯蔵中の酒のほとんどがこの状態です。


にごり酒

もろみの中の蒸し米や麹の粒をい細かく砕き、目の荒い布などでこしたにごった状態の酒。加熱殺菌していない生酒が多く、発酵過程の炭酸が残っているため、活性化した酵母菌のみずみずしい味がします。


古酒・長期熟成酒

広義には酒造期に新酒ができた時点で、その前年度の酒はすべて古酒となるが、一般的には長期間、貯蔵させていたものをいいます。熟成させることによって香りが落ち着き、風味にもまろやかさが増します。三年以上貯蔵したものを「長期間貯蔵酒」、五年以上のものを「秘蔵酒」といいます。


低アルコール酒

一般的に清酒のアルコール度数は15~16だが、低濃度酒は15度未満。食生活の多様化や嗜好の変化に応じて、特殊な製法でうま味をとどめながらアルコール度数だけを下げた、新しいタイプの低濃度酒の開発が近年、進んでいます。


日本酒の種類による用語について

精米歩合とは

 精米歩合とは、白米のその玄米に対する重量の割合をいいます。精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることをいいます。

 米の胚芽や表層部には、たんぱく質、脂肪、灰分、ビタミンなどが多く含まれ、これらの成分は、清酒の製造に必要な成分ですが、多過ぎると清酒の香りや味を悪くしますので、米を清酒の原料として使うときは、精米によってこれらの成分を少なくした白米を使います。
 ちなみに、一般家庭で食べている米は、精米歩合92%程度の白米(玄米の表層部を8%程度削り取る。)ですが、清酒の原料とする米は、精米歩合75%以下の白米が多く用いられています。特に、特定名称の清酒に使用する白米は、農産物検査法によって、3等以上に格付けされた玄米又はこれに相当する玄米を精米したものに限られています。


こうじ米とは

  こうじ米とは、米こうじ(白米にこうじ菌を繁殖させたもので、白米のでんぷんを糖化させることができるもの)の製造に使用する白米をいいます。
 なお、特定名称の清酒は、こうじ米の使用割合(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合をいいます。)が、15%以上のものに限られています。


醸造アルコールとは

 醸造アルコールとは、でんぷん質物や含糖質物から醸造されたアルコールをいいます。
 もろみにアルコールを適量添加すると、香りが高く、「スッキリした味」となります。さらに、アルコールの添加には、清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止するという効果もあります。
 吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコールの量は、白米の重量の10%以下に制限されています。


吟醸造りとは

  吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。
 吟醸酒は、吟醸造り専用の優良酵母、原料米の処理、発酵の管理からびん詰・出荷に至るまでの高度に完成された吟醸造り技術の開発普及により商品化が可能となったものです。

参考にした書籍

杜氏 千年の知恵 高浜春男

杜氏千年の知恵―米、水、人を生かし切る日本の酒造り (単行本)  高浜 春男 (著)
祥伝社

内容(「MARC」データベースより)
甘い、辛い、濃い、薄い、杜氏がそういう意見に惑わされてぐらぐらしたら滅茶苦茶になってしまう…。「どんなことがあってもいい酒を造っていきたい」というを志を持って、本当の日本酒を守り抜く匠の技を紹介。

越後「八海山」杜氏・高浜春男氏が語る
本当の日本酒を守りぬく<匠の技>!!
基本は「手造り」。日本酒は生き物だすけ、手を入れんば、駄目だ。!!


「志」をもった酒造りの強さ
日本全国で、日本酒の消費量、生産量が減少しているなかにおいて、
「八海山」では毎年石高を増やしている。四十年以上八海山の杜氏を続けた名杜氏、
高浜春男氏は、その理由について、「いい酒を造らんば駄目だという思いだけで、
毎年、毎年、歯を食いしばって酒を造ってきた」と。
そして、その良い酒を造るには、「自分の物差しを持って造る」、
「甘い、辛い、濃い、薄い、杜氏がそういう意見に惑わされて
ぐらぐらしたら滅茶苦茶になってしまう」、「その物差しとは
“どんなことがあってもいい酒を造っていきたい”という志しのことだいね」。
この「志」。今の日本の全業種に共通して言えることなのでは。
日本のソムリエとして、もっともっと日本酒の魅力を知ってゆねばと考えさせられました。
(田崎真也)


「酒造り」というものは面白いものですよ。いい酒を造ろうと思えば、
どこもで行っても終わりというものがない。
その面白さに惹かれて、おらも、ほんの子供の頃から七十を超えるまで、
酒造り一筋にやってきたというわけですて。
面白くて、面白くて、趣味のようなものは何ひとつ覚えずに、
酒造りのことばかり考えてきた。今、思えば、ほんとに馬鹿のようだんが、かっこよく言えば、
「一粒の米」に賭けるというか。ほんとにそんげな人生だったんでないかな。
では、日本酒とはどんな酒なのか、長い間、酒造りをしてきたのだから、
それなりに考えもあるだろうと聞きたくなる人もいるでしょうが、
おらは「造り」のほうを専門にやってきた人間だすけ、偉い先生のようなうまいことは言えないんだんが、
やっぱ日本人の知恵がこもった酒ということになろうかの。

その技術は日本独特のものですよ。米を蒸かし、「麹」と「酒母」を育て、
三段仕込みで「もろみ」を仕込むという酒造りのやり方は、世界のどこにもないと聞いています。
日本人が大事にしてきた米を生かし、また、四季に恵まれているという日本の気候にもあわせて、
長い歴史の中で工夫に工夫を重ね、磨きに磨いてきた。それが日本の酒造りなんですて。
(越後「八海山」杜氏 高山春男本書まえがきより)

1600円(税別)