日本酒に魅せられて-日本酒を知る 日本酒の用語

日本酒に関するいろいろな言葉について

日本酒にまつわるたくさんの言葉 日本にはおもしろい日本酒に関する言葉がありますね。

「初呑切り」ってご存じですか

初呑切りは日本酒好きの人にとっては蔵元しか楽しむことが出来ない羨ましいことの一つかも知れませんね。

初呑切りというのは簡単にいうと貯蔵しておいたお酒の検査のことです。冬に作られたお酒は味を調えるために貯蔵されます。その貯蔵されたお酒の検査なのです。初ははじめての・・・という意味です。
呑切りというのはタンクの呑口を開けることを言うそうです。

出来たお酒の味わいを確かめるこの初呑切り。どんな熟練の杜氏であっても緊張する瞬間でしょうね。
そんな日本酒に関する用語を集めてみました。

日本酒の用語 片口

日本酒にまつわるいろんな言葉について

あ行

甘口・辛口

日本酒の甘い辛いは、日本酒度や酸の含有量、アルコール度などで見極める事が出来ます。

甘酒(あまさけ)

もち米の粥に米麹を混ぜ、60度前後で一昼夜放置して造ったもの。
別名として、「一夜酒」、「なめ酒」とも呼ばれています。

アミノ酸度

味の濃淡をみる目安で、日本酒内のアミノ酸の総量を表したものです。
一般的には、数値が高いとコクのある濃いお酒になり、数値が低いと淡い味のお酒となります。
多ければ良いという訳では無く、アミノ酸度の数値が高すぎると、雑味が出易くなってしまいます。

荒走り(あらばしり)

醪を入れた酒袋を槽に置き、圧力をかける前に酒袋の重さだけで流れ出してきた1番最初のお酒です。
「中取り」は少し圧力を加えてしぼった部分のお酒。「押切り」は高圧力によって搾られた部分のお酒。
通常良心的な酒蔵さんでは、大吟醸酒を搾った場合には、この部分は大吟醸酒とせずに他のお酒に混ぜてしまうことが多いようです。しかし、これらの「荒走り」「中取り」「押切り」の境は、それぞれの蔵によってかなり違い、極端な例では「荒走り」は最初のほんの少しで(濁って雑味が多いために)取り除いている蔵もあります。そのためその蔵では「中取り」と名乗っている部分が「荒走り」に相当しています。

家付き酵母

醸造場の建物や床に付着したその醸造場特有の酵母の事です。
菊川酵母、菊正酵母、HY酵母などが知られています。
酒蔵にはその蔵の土壁や天井に住み着いている「家付き酵母」があるのだそう。「蔵付酵母」とも呼ばれる。米を樽に仕込んで、空気中から「家付き酵母」がその中に落ちてきて発酵するのを待つ。ほかの菌も落ちてくるが、清酒酵母だけが発酵しやすいようにするのが杜氏の腕の見せ所のひとつでもあるという。
それにより、「生もと」とか「山廃もと」という名前が冠せられます。

裏ラベル

お酒のビンの裏側に付いているラベルです。
蔵元、日本酒度、原料、精米歩合、使用酵母、杜氏名などが記載されているお酒の履歴書というべきものです。

男酒・女酒

酸が強めの辛口のお酒が男酒で、酸が弱めの甘口のお酒が女酒となります。
男酒は、新酒の頃、舌触りが荒いが、夏が過ぎると酒質に柔らかみがでてきます。
一方、女酒は新酒のうちでも呑み易いお酒です。

雄町(おまち)

幻の酒米といわれる酒造好適米です。明治41年岡山県に奨励品種となった古典的な品種です。長桿(丈が長い)で倒れやすく、病気に弱いとされています。しかし、山田錦のように酒造用に適しており、高精白の吟醸造りに適しています。今では岡山県赤磐郡産が有名で最高と言われています。


か行

掛け米(かけまい)

仕込の際に、通常三度にわけて醪(もろみ)を増量するときに使用する蒸米のこと。
できあがった酒母に麹と蒸米を加えて醪を造ります。
お酒ができるまでに使われる米は、麹米、酒母米、掛け米がありますが、掛け米が全体の7割を占めます。

粕歩合(かすぶあい)

原料の白米に対する搾り終えた後の酒粕の割合。
通常25~30%が多いが、吟醸造りの場合、低温で米を溶かさないように発酵させるため 30~40%を超えるものもあります。

金賞(きんしょう)

公的機関から付与された賞である場合に表示する事ができ、受賞機関、受賞年も併せて表示されています。
ただし、何年も前の金賞を大袈裟に打ち出している酒や、「金賞酒」ではなく、「金賞受賞蔵」という表示もあるので、そのような酒を見る場合は注意が必要です。

寒造り(かんづくり)

秋に収穫した新米を用い、11月頃から3月までの寒い時期に1年分のお酒を造る方法です。

利き酒(ききざけ)

お酒の善し悪しをみる目的で、口に少量含んで味わう事です。
利き酒は、色、香り、味の順でみていきます。

きょうかい酵母

日本醸造協会が領布を行っている酵母で、「きょうかい○号酵母」と名付けられています。
ちなみに、吟醸酒で良く使われているのは、「きょうかい9号・10号・12号」などです。

貴醸酒(きじょうしゅ)

仕込の際に水ではなく、清酒を用いて長期熟成させた清酒。
味わいは濃醇な甘口。
炭酸で割って飲むとスパークリングワインの様な味になります。

きもと

もと造りの方法です。
蒸米、米麹、仕込み水、酵母の培養液内で乳酸菌を自然に育成し、有害菌の繁殖を抑えます。
厳冬季の深夜に米をすりつぶす「山卸し」という苦しい作業を要する昔ながらの技術で、
江戸時代に完成されました。

吟醸酒

精米歩合が60%以下で、低温発酵させて造ります。
鑑評会の出品用として技術向上を目的とした中から生まれた酒質です。
果実の様な香りと、滑らかな口当たりが特徴で、日本酒の芸術品といわれます。

吟醸造り

お酒を低温で、ゆっくりと発酵させて造る方法です。
普通酒が最高15度で20日前後かけるのに対し、吟醸造りの場合は、10度以下で30日前後かけます。

蔵人(くらびと)

杜氏さんの指揮のもと、お酒造りに従事するお酒造りの職人さんです。
頭、麹師、もと師の三役の他、二番頭、釜屋、船頭などの職階があります。

原酒

加水によってアルコール度の調節をしないで出荷したお酒です。
貯蔵中のお酒のほとんどは原酒の状態で、ビン詰めする前に加水されるのが普通です。

原料米

お酒の原料となるお米の事です。
日本酒を造るためのお米は、食用米を品種改良したもので「酒米」と呼ばれます。そのなかでも産地や品種銘柄などについて農水省の指定を受けた米が「酒造好適米」です。「山田錦」「五百万石」「雄町」「美山錦」などがよく知られています。

高酸味酒(こうさんみしゅ)

一般の清酒は黄麹菌を使用しますが、これは白麹菌などを使用して造った清酒のことで、その名の通り酸味が強い日本酒のことです。
日本酒には、この他仕込みにお酒を使ったもの、紅麹菌を使ったものなど、多品質のタイプがあります。

麹(こうじ)

お米のデンブンを糖化させるために必要なものです。
お酒造りのポイントは「一に麹、二にもと、三に造り」といわれる様に、
麹はお酒造りの最初の要となります。
麹造りは、麹室と呼ばれる密室の中に蒸米を入れ、そこに種麹をふりかけます。
種麹は、蒸米の中で徐々に繁殖し、菌糸をお米に食い込ませ、デンプンを糖分に変えていきます。
米麹、黒麹、みりん麹などがあります。

麹米

麹造りに必要なお米です。
お酒ができあがるまでに使われるお米の2~3割に当たります。

硬水・軟水

水に含まれている成分のカリウムやカルシウムが多ければ、硬水となり、少なければ軟水となります。
硬水で仕込めば辛口のお酒、軟水で仕込めば甘口のお酒になり易いです。

酵母

大きさ、6~7ミクロンの微生物です。酒質を安定させるには、優秀な酵母が不可欠です。
そのために醸造試験場が各地に設置され、優秀な酵母の培養が行われています。
優良な酵母は日本醸造協会から発表されるので「きょうかい酵母」と呼ばれ、
これに対し、蔵特有の酵母を「自家酵母」「家つき酵母」と呼んでいます。

古酒(こしゅ)

厳密に言いますと、新酒ができた時点でその前年度のお酒が全て古酒となりますが、
一般的には長期間の貯蔵を経たお酒の事をさします。
まろやかな風味が増し、香りも落ちついています。

五百万石

酒造好適米の中の1つです。作付け面積では日本一といわれ、幅広い地域で栽培されています。
昭和三十年、新潟県農業試験場にて、「新200号」を父に、「菊水」を母として交配された品種です。今では、新潟県を代表するとも行って良いほどメジャー米となっています。


さ行

酒林

「酒は飲みたし 銭はなし 酒の林を見て通る」酒林(さかばやし)は、杉の葉を束ねて丸く刈り込んで作られたもので、酒に関係する商売の看板です。毎年新酒のできる年末になると青い杉の葉で作ったさかばやしを軒下につるしたものです。
杉の葉も、つるしたばかりの時は目も覚めるような緑ですが、時間がたつとだんだんと茶色くなってきます。これがまた緑になると、新しい酒が出来たことが遠目にも分かります。 造り酒屋の看板で、杉の葉を丸く束ねて軒下に吊るしたものです。
軒下の酒林が青々とした新しいものに変わると、新酒ができた合図となります。

雑味

一般にアミノ酸度が高くなり過ぎると、雑味が出てくると言われています。
雑味とはきたなさを感じる様な味わいです。

三段仕込み

醪を造る工程で、米、米麹、水を3回に分けて投入する方法です。
一日目は初添え。翌日は仕込みはお休み。酵母はゆっくりと増えていきますが、これを踊りといいます。三日目に二回目の仕込み(仲添え)をし、四日目に三回目の仕込み(留添え)をして仕込みは完了します。段仕込みは、雑菌の繁殖を抑えつつ酵母の増殖を促し、もろみの温度管理をやりやすくするための独得の方法なのです。

酸度

お酒の中に含まれる、酸の総量を示したものです。味の濃淡をみるために使われる数値です。
10MLのお酒を中和するのに要する、水酸化ナトリウム溶液のMLを指しています。
日本酒度が同じ場合、この酸度が高い方が辛く、味は濃く感じられます。
現在の清酒は平均1.3~1.5で、これより少ないと淡麗、多いと濃醇とされています。
あくまでも数値なので人それぞれの舌でずいぶん違って感じるようです。

三倍増醸酒

略して「三増酒」と呼ばれています。
食糧難の時代に米不足をカバーするため、出来上がったお酒にアルコールと調味料を加え、約3倍に増量したのがこの名の由来です。
生産コストが安いため、現在でも市販されている日本酒の多くが三増酒だと言われています。

酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)

酒造りに適した米。特徴として大粒で蛋白質、脂肪が少なく、 心白が大きく、吸水率が良いといった事があげられます。
条件として現在29府県に31品種が指定されています。
代表的なものに「山田錦」「五百万石」「雄町」「など。

自家酵母

蔵元自らが培養した酵母の事です。
日本酒も、自然界に存在する酵母菌を活かして、脈々と醸造されてきた。

仕込み水

文字通り、お酒を仕込む時に使うお水の事です。
よいお酒を造るには、よい水を仕込みに使う事が必要であるため、
昔からよい水のある所に酒蔵ができています。

地酒

その土地で造られているお酒の事です。その土地の豊かな自然にはぐくまれた厳選素材を使い、こだわりの職人が作り上げた日本酒が日本各地にあります。

搾り

発酵の終わった醪を布の袋に入れ、お酒を搾り出す工程の事です。
醪を入れた布袋を細長い槽に積み、上から圧力をかけると、透明なお酒が流れてきます。

蛇の目ちょこ

利き酒の時に使う白磁のちょこの事です。そこに藍色の丸い2本の線が入っているちょこのことです。
白い猪口の底には藍色の円が描かれています。これが蛇の目で、単なる飾りではなく日本酒の透明度を見るために必要なものです。日本酒は濾過の方法や古さによっては透明ではなくやや褐色を帯び、蛇の目の色合い、蛇の目と白い部分の対比で違いがわかりやすくなっています。
また、古くから神事に深く関わりのある日本酒を清めるなどの意味も込めて、魔除けとして蛇の目になっているといいます。この蛇の目猪口が利き酒用の容器として正式に採用されたのは、第一回の全国新酒鑑評会(明治44年)のことだそうです。

酒造好適米

日本酒造りに用いる酒米のなかで、特に酒造に適し、酒造専用に栽培されているお米の事です。
通常の酒米や食用米よりも大粒で、高精白米にし易く、良質の蒸米が得られ、
なおかつ麹も造り易く、吟醸酒造りには欠かせない原料です。
代表的なところでは「山田錦」「五百万石」「雄町」「美山錦」などがあります。

酒母

麹で得た糖分をアルコールに変える工程で、酒母の中にある酵母を増殖させます。
そこで培養した酵母が雑菌に侵されない様にするために乳酸の力を借ります。
酒母は、麹と米麹と水で造られ、「もと」とも呼ばれています。
昔から酒づくりは、一麹、二もと(酒母)、三つくり(醪)と言われ、酒母(もと)は日本酒醸造における重要な工程です。
酒類の成分であるエチルアルコールは、酵母という微生物の働きによってできるますが、その酒母を純粋に大量培養したものを酒母と呼んでいます。

酒母米

酒母を造るのに必要なお米です。お酒が出来るまでに使うお米の約1割に当たります。
酒母米は溶けをよくする必要から、掛米、麹米とも糖化されやすい性質の米で、しかも精米歩合は70%以下がよいとされています。

醸造アルコール(じょうぞうアルコール)

デンプン質物質や含糖質物から醸造されたアルコールをいいます。
吟醸酒、本醸造酒に使用できる醸造アルコール量は、白米の重量の10%以下
 (白米1トンに対し100%アルコール116.4リットル)に制限されています。
アルコールの添加には清酒の香味を良くしたり、すっきりとさせ飲みやすくする効果まり、香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止する効果もあります。

純米酒

文字どおり、米と麹と水だけで造られている物で、醸造アルコールなどは一切添加されていません。
精米歩合が70%以下に規定されているので、原料米の特性が一番良く現れているお酒だと言われています。
米本来の芳醇な香りと、コクのある味わいが特徴です。

純米吟醸酒

米.麹.水だけを使用原料とし、精米歩合60%以下で吟醸造りを行ったお酒です。

純米大吟醸酒

純米吟醸酒の製造過程で、精米歩合が50%以下となるお酒です。

醸造アルコール

お酒の香味を調整するために加えられるものです。
さとうきび等を発酵、蒸留させた高純度エチルアルコールの事で、
原料には、米で造った物や、麦やトウモロコシで造った物などもあります。

蒸米(じょうまい)

白米に蒸気を通して蒸したものです。
蒸す事によって、デンプンの分解を助け、また、その熱によって殺菌作用も働きます。
よい蒸米とは、さばけがよくて外硬内軟なもので、完全にα化され、適度のかたさを保ち、表面がべたつかないものを指します。
蒸米の硬軟は、以後の製麹管理と醪中の米の溶解に大きな影響を与えるので、大変重要な工程だそうです。

新酒

搾りたての日本酒の事です。
まったく熟成されていないので、味は粗削りながら、新鮮さがあります。
具体的には、その年(7月1日から翌年6月30日まで)に造られたお酒をいいます。
熟成が進んでいないため特有の若い香り(新酒ばな)が残っているのが特徴です。
一般に12月~翌年2月に販売されています。

心白(しんぱく)

米粒の中央に見える乳白色の部分の事です。
心白は組織が柔かく、麹菌の菌糸が入り易いという性質があります。
菌糸が浸透し易ければ、それだけデンプンを糖分に変える力が優れている訳で、
心白があるか無いかが、酒造好適米の条件の1つとなっています。

精米歩合

精米をして残った白米の割合の事です。
玄米の表層部には、たん白質. 脂肪.無機質など日本酒の香味や、色調を劣化させる成分が多く含まれており、これらの部分を取り除く事を精米といいます。
当然、精米すればする程純粋になり、雑味が入りにくく米の旨みが生かされます。
尚、精米歩合 40%というのは、真ん中の40%を残し、周りの60%を取り除いた事になります。

洗米

米を洗い、付着した糠を洗い流す作業の事です。
高精白になるほど吸水力が高くなるので、短時間で行わなければなりません。

総米量

1つのお酒を仕込むのに使用する白米の総量の事で、麹米、酒母米、掛け米の総重量の事になります。

速醸もと

乳酸速醸もとの略で、市販の乳酸を利用して「もと造り」をする方法です。
手間がかからないため、現代のお酒造りの主流となっています。
生もと造りとは今ではあまり用いられることがなくなった昔ながらの酒造りの手法で、乳酸を自然に発生させるという方法です。この工程の中で蒸米、麹、水が入った状態でそれらをすりおろす作業が加わりますが、その作業を山おろしと呼びます。
ちなみにその山おろしというきつい作業を廃止したものが山廃と呼ばれています。
しかし現在では生もとも山廃も殆ど行われておらず、速醸もとが主流となっています。
速醸もとは約2週間で出来上がりますが、生もとや山廃もとは20日~30日かかります。その長い期間にさまざまな成分が生産される生もとや山廃もとは味わいが濃醇で腰の強い独特の風味をもった酒になりやすいといわれています。また、速醸もとの酒は比較的熟成の進まないうちに飲むのが良いとされていますが、生もとや山廃もとは熟成してから飲む方が良いとされています。

増醸酒(ぞうじょうしゅ)

白米1トンにつき、2.400L(アルコール分30%に換算した数量)の調味アルコールを添加 したお酒のことをいいます。
これは第2次世界大戦後に酒造用米が不足したために造られ、現在でも造られているようです。
収量が約三倍になることから三倍増醸酒、三増(さんぞう)とも呼ばれています。


た行

大吟醸酒

精米歩合50%以下の吟醸酒。酒造りの技術を集めた最高傑作です。
吟醸酒のうち、精米歩合が50%以下のものは「大吟醸」の名を冠することができます。
フルーティーな香りとスッキリとした軽快な口当たり。
香りが発つので品評会用に用いられることが多いようです。

樽酒(たるざけ)

木製の樽で貯蔵し、木香のついた清酒のことをいいます。
樽の材料として、杉、なかでも吉野杉が最高とされているようです。

淡麗(たんれい)

日本酒に含まれている糖分と酸がともに少なければ、味は淡麗となります。
滑らかでみずみずしい味です。
詳しく言えば、日本酒は「辛み」「甘味」「酸味」「苦味」「渋み」という感じの5つの味から成り立つというか表現されたています。
そして淡麗のさっぱり,芳醇の濃いなどの濃い淡いなどのいわゆる濃淡の差というのは日本酒の“酸”や“アミノ酸”などの量よって変わってきます。“酸”や“アミノ酸”が少なくなればなるほど淡麗と感じてきます。
辛口⇔甘口、淡麗⇔芳醇というお互い相反するような味わいという感じになうのではないでしょうか。

杜氏(とうじ)

日本酒の醸造工程を行う職人集団、すなわち蔵人の監督者であり、なおかつ酒蔵の最高製造責任者をいいます。

特定名称酒

本醸造酒、純米酒、吟醸酒のいわゆる高級酒の総称です。
なお、特定名称酒以外のお酒を便宜上、普通酒と呼んでいます。

特別純米酒

純米酒の中の一つで、精米歩合60%以下、
もしくは、酒造好適米の使用割合が50%ある事が必要となっています。
さまざまなタイプのお酒が見受けられるのが特別純米酒の特徴です。
フルーティーで軽快なものから、濃厚でふくよかなタイプまでいろいろなタイプの日本酒があります。価格も二千円前半から中盤までが一般的ですね。

特別本醸造酒

少量の醸造アルコールを添加する本醸造酒の中で、精米歩合が60%以下、
もしくは、酒造好適米の使用割合が50%以上あるお酒の種類です。
軽快なタイプから濃厚なタイプまで幅広いラインナップがあるのが特徴です。
料理も和食から中華料理まで幅広くこなすオールマイティーなタイプのお酒です。

斗瓶取り(とびんとり)・斗瓶囲い(とびんかこい)

袋吊りにて搾った最良の部分を一斗(18リットル)入りの瓶に入れたもの。
その蔵にとって最高級の清酒になります。


な行

中取り(なかどり)

お酒を搾る段階で、酒袋を槽いっぱいに積み、圧力をかけずに一昼夜おきます。
酒袋だけの重みで自然に流れ出たお酒の事を言います。
蔵で仕込んだ酒をタンクから絞るときに、液体真ん中の澄んでいる味わいのある部分を取った酒を中取りとはといいます。
真ん中を取る、すなわち中取りと呼び、生酒で頂くには最適の部分ですね。

生酒(なまざけ)

加熱殺菌(火入れ)をしない日本酒です。
通常のお酒は、搾ってお酒にした後タンクに貯蔵する前と、ビンに詰める前に火入れを行います。
この二回の火入れの内、貯蔵前だけに加熱殺菌したお酒を「生詰め」、
逆にビン詰め前だけに加熱殺菌したお酒を「生貯蔵酒」といいます。
酵母菌の生きたフレッシュな香味が特徴です。

生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)

搾り立ての日本酒を加熱処理せずに貯蔵し、出荷時に一度だけ加熱処理をしたものをいいます。

生詰酒(なまつめさけ)

搾り立ての日本酒を加熱処理後貯蔵し、程良く熟した頃に出荷したものをいいます。

濁り酒※(にごりざけ)

醪を目の粗い布で漉しただけの清酒で、白く濁っている状態をいいます。
この中で出荷の際に加熱、殺菌していないものを活性酒ともいい、酵母や酵素が生きたままの状態ですです。

日本酒度

日本酒の甘口.辛口をみる目安となります。
糖分が多ければ甘く感じ、糖分が少なければ辛く感じます。
日本酒度は糖分の多い物がマイナスに、逆に糖分の少ない物がプラスとなります。
つまり、マイナスの度合いが高いほど甘口となり、プラスの度合いが高いほど辛口という事になります。
しかし、酸の含有量やアルコール度によって、甘辛は微妙に変化しますので、日本酒度だけで判断出来ない部分もあります。

乳酸

もと(酒母)造りの工程で、培養した酵母が雑菌に侵されないようにするために使います。
その方法は、培養液中の微生物を利用して自然に生成させるか、市販されている物を添加するかのどちらかです。
酵母菌は使用する時点で大量に培養(酒母造り)されますが、日本酒は唯一開放タンクという密閉されていない容器で造られ、酵母菌の大量培養も小さな開放タンクで行われます。厳寒の冬の早朝、雑菌がまだ活動しない時に作業が行いますが、それでも雑菌の混入があります。この雑菌の繁殖を押さえるために、天然の乳酸菌を呼び込んで乳酸を作らせ、その乳酸に雑菌を押さえ込ませていたのです。
酵母菌は使用する時点で大量に培養(酒母造り)されますが、日本酒は唯一開放タンクという密閉されていない容器で造られ、酵母菌の大量培養も小さな開放タンクで行われます。厳寒の冬の早朝、雑菌がまだ活動しない時に作業が行いますが、それでも雑菌の混入があります。この雑菌の繁殖を押さえるために、天然の乳酸菌を呼び込んで乳酸を作らせ、その乳酸に雑菌を押さえ込ませていたのです。

濃醇(のうじゅん)

日本酒に含まれている糖分や酸がともに多ければ、味は濃醇となります。
最初に米味や酸味などいろいろな濃ゆい味わいがきて、後に辛さが強く残るような感じになります。重厚でうまみのある味のことです。


は行

発泡酒(はっぽうしゅ)

炭酸ガスを吹き込んだ清酒をいいます。
一般的にアルコール分は低く8%程度です。
最近はビン内二次発酵による、発泡性の日本酒も観られるようです。

火入れ

お酒を加熱して殺菌する作業です。普通、お店に並ぶ前に2回の火入れを行います。
温度は65度ぐらいで、1回目は搾ってタンクに貯蔵する前、2回目はビン詰めする前に行います。
日本酒は、貯蔵前や、瓶詰前に60度と言う低温で殺菌します。火入れによって、酵母や火落ち菌と呼ばれる菌が殺菌されます。
火落ち菌は、中毒を起こしたりすることはありませんが、酒を白濁化させ、香味を変化させます。この繁殖を抑えるために、ろ過と火入れを行うのです。火入れを行い加熱殺菌することで、長期熟成保存が可能になります。
火入れをしなければ劣化が早く、すぐに生老ね香を発します。正しい保存管理をしていない飲食店などでは、劣化した酒を5℃前後まで冷やし、冷たさでわからないようにして出しているところも多くあるそうです。ゆえに火入れとは、かえってその酒の新鮮さを長く保つために行なう工程であるといえそうです。

火落菌(ひおちきん)

火落菌という菌が清酒に繁殖すると白濁、酸の生成、特異臭といった現象が起こり、飲めなくなる変敗現象のことをいいます。
古くは貯蔵中の6月~9月にかけ起こっていましたが、現在では技術の進歩により、ほとんどみられなくなっています。

秘蔵酒

古酒のなかでも5年以上、低温で熟成したお酒のことのようですが、秘蔵酒というのは、単に「5年以上、貯蔵~熟成させた酒」のことを指しているだけなのです(現在はこの表示基準が解除されています。)

老ね香(ひねか)

熟成が必要以上に進んだ場合、色が濃くなったり、味わいや香りに異変が起こったものを指す場合の日本酒独特の表現です。

品質表示(ひんしつひょうじ)

「極上」「優良」「高級」等品質が優れている印象を与える用語は、自社の清酒のうち同一の 種別 または銘柄のものが複数ある場合に、品質の優れている清酒に表示できる法事方法です。
ただし、これらの用語は他社との製品の比較ではなく、自社の清酒のランク付けとして使用されているので、他社の製品との格差ではないので注意が必要です。

袋吊り(ふくろつり)

醪(もろみ)の完成後、お酒を搾り出す工程で、槽を使わず、醪を入れた布袋を吊るして、圧力をかけずに自然の力でポタポタと滴れる自然落下の酒を特別に集めた酒のことをいいます。醪(もろみ)内部の粒子を押しつぶさず、液化発酵したところのみが得られ、大変きめ細かな香りの良い酒となります。より純粋な味を引き立てます。

普通酒

特定名称酒以外のお酒の事で、出来上がったお酒に、醸造アルコールと調味料を加えたお酒です。
昔、特級、1級、2級があったのをご存知でしょうか?
この時代は、この級別により酒税の税率が決まっていました。
ところが、1992年にこの級別制度が廃止されてからは、アルコール度数によって、酒税の税率が決まるようになりました。
同時に、特定名称酒と言われるようになりました。
一方、この基準を満たさないお酒は、普通酒と呼ばれています。昔の1級、2級は普通酒です。
特定名称酒の基準の中に「3等以上の酒造好適米を使用しなければいけない。」という項目があります。
つまり、普通酒においては、3等以上でなくていいのです。「等外」でもいいのです。
さらには、もっと安いくず米でもいいのです。
酒造りでは、高精米をします。そのため、大量の「米ぬか」がでます。
この「米ぬか」から糖分を生成する装置があります。この装置によりできた甘い液体を酒に加えてお酒の味を調える方法です。このような方法で普通酒ができているものも多くあります。

槽(ふね)

醪を入れた酒袋からお酒を搾り出す装置の事です。
槽とは、約一ヶ月間発酵してきた醪(もろみ)が搾りの時期を迎えて、搾ることを言います。
お酒の搾り方には大きく2種類に分かれます。
一つは「ヤブタ」というアコーディオンのような形をした大きな機械での搾り、もう一つは「槽(ふね)」という正に船のような形をした機械での搾りです。
どちらの機械も圧力をかけて搾るんですが、昔は槽が主流でした。
やがて技術の開発でヤブタという機械が出てきました。
槽での搾りには手間と時間がかり、槽では酒袋という袋に醪(もろみ)を詰めて重ね、そこに圧力をかけて搾るんですが、この酒袋には10L程度しか入りませんから数千リットルの醪(もろみ)を搾るのに必要な袋を用意するのは大変です。
その手間を省力化する為にできたのが「ヤブタ」です。
ヤブタは用意してしまえばスイッチ操作で搾りができる優れものです。
現在では、ヤブタが主流ですが槽での搾りの良さもあり、各社それぞれ使い分けておいしい日本酒造りを行っています。

ふなぐち

仕込によって発酵した醪を圧搾機にかけて酒と酒粕に分離する際に酒槽(ふね)から流れ出る精澄なできたての酒を「ふなぐち」といいます。

本醸造酒

少量の醸造アルコールを、お酒の香味の調整のために添加したお酒です。
添加量は仕込み水に使われる白米の重量の10%以下、精米歩合は、70%以下と規定されています。
本醸造酒はお燗にしても美味しいですし、冷やして飲んでも美味しいタイプもあります。
基本的には吟醸酒と純米酒の間、サラサラしすぎていなく、それほどコクが強いわけでもないという感じです。
蔵元によって同じ本醸造酒でも味わいに大きな違いがありますから一概にそうとは言えないませんので、ご自分の舌で確かめてください。
日本酒にはこの本醸造酒の下に普通酒があります(特定名称酒に当てはまらないもの)。


ま行

美山錦

主に東北地方で栽培されている酒造好適米です。
長野県農事試験場で、高嶺錦にガンマ線照射処理を行った結果、突然変異で誕生した品種だそうです。

宮水(みやみず)

名水と呼ばれる灘の仕込み水の事です。
宮水とは“西宮の水”を略して称されるもので、西宮市の海岸近くにある浅井戸から湧きあがります。
この水は六甲山地より来る伏流水で、鉄分が少なく、リンやカルシウム、カリウムなどを多く含む硬水である。そのまま飲用してもまずく、お茶や洗濯、植木などには一切向かない、酒造りにのみ適した水です。
宮水で仕込まれた灘の酒は、香味ともに荒削りで舌触りがどことなく荒々しく男性的なため“男酒”とも呼ばれますが、夏の貯蔵熟成を経て秋になると円熟味を増し、馥郁としたまろやかな酒質になります。
それが“秋晴れする”といわれる所以だそうです。

醪(もろみ)

醪とは、もとと麹と蒸米(掛け米)と水を加えて増量したものです。
この過程を仕込みと言います。
仕込みが終わり、搾りにかけるまでの発酵期間を「醪日数」と呼び、だいたい20~30日かけてお酒となります。
醪(もろみ)とは、酒母、麹、蒸米、仕込み水を専用のタンクに投入して発酵させたものです。
糖化と発酵が同時に行われる並行複発酵がこのタンクの中で本格的に行われます。
また、タンクの上部は開放されているのは清酒造りの特徴で、発酵の様子を見たり、櫂(かい)で混ぜる作業を行います。
醪の仕込みは主に三段仕込みと呼ばれる段階を踏んだ作業を行います。
これは、日本酒の仕込みの大きな特徴で、一変に大量に仕込みを行うと醪の濃度が高くなりすぎて、発酵に支障が出るなど危険を回避するためです。
1回目を「初添え(はつぞえ)」
2回目を「仲添え(なかぞえ)」
3回目を「留添え(とめぞえ)」
と呼び、初添えと仲添えの間に一日「踊り」と呼ばれる仕込みを休む日を設けます。
これは、この踊りの間に酵母の増殖をすすめ、仲・留添えに備える意味があります。
そして、一定の期間を経て醪が完成します。
ここでのアルコール度数は約20%にもなるそうです。
昔から酒づくりは、一麹、二モト(酒母)、三つくり(醪)と言われ、醪(もろみ)は日本酒醸造における重要な工程です。

山田錦

酒造好適米の中でも最高品種と言われている酒米です。
「酒米の王様」とも言われ、大吟醸酒等の高級酒に良く使われます。
山田錦は大正12年に兵庫県農業試験場において、山田穂を母に、短桿渡船を父として交配を行い、昭和6年に山渡50-7の系統名をつけられました。
昭和11年に山田錦と命名されました。整粒千粒重は26~28グラムの大粒種である酒造好適米の中でも特に優れた酒造上の形質を有しているため、「酒米の王様」とも言われ、大吟醸酒等の高級酒に良く使われます。

山廃もと

「きもと」の作業でとくに労力を要する山卸しを廃止した「きもと」の改良法で、山卸し廃止もとの略です。
「きもと」と同様、山廃もとで仕込んだお酒は、濃厚な風味を持っています。
山廃仕込み(やまはいしこみ / - じこみ)とは、単に山廃とも称され、生酛系(きもとけい)に属する日本酒の製法の一つ。 「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」が正式名称で、その酛で醸造した酒のことも一般に「山廃(仕込み)」と呼ばれています。
速醸もとは約2週間で出来上がりますが、生もとや山廃もとは20日~30日かかります。その長い期間にさまざまな成分が生産される生もとや山廃もとは味わいが濃醇で腰の強い独特の風味をもった酒になりやすいといわれています。
また、速醸もとの酒は比較的熟成の進まないうちに飲むのが良いとされていますが、生もとや山廃もとは熟成してから飲む方が良いとされています。
酸味が多くコクのある生もと造りや山廃造りの酒は、夏を越しじっくり熟成が整った頃にその良さをあらわすからです。
ちょうどお燗酒が恋しくなる季節、生もと造りや山廃造りの酒は、お燗でさらにまろやかになります。
生もと・山廃がお燗に向くといわれるのはこのためだそうです。

四段掛け

お酒に甘味を加えるための作業です。三段仕込みの3回目の後に蒸米を急激に糖化します。
おもに普通酒などにおいて、醗酵が完了する直前に、日本酒度や甘辛度を微調整する目的で、酵素剤によって糖化した少量の蒸米を加えることである。
これによって醪の糖分が増し、甘みが大きくなる。
これは工程的には三段仕込みのあとに行なわれる調整なので、「もう一段仕込んだ」と誤解されるようです。


わ行

割り水

貯蔵されている熟成されたお酒のアルコール濃度を調整するためのお水です。
割水(わりみず)とは、熟成のための貯蔵タタンクから出された酒へ、出荷の直前に水を、より正確には加水調整用水を加える作業をいいます。
加水調整(かすいちょうせい)あるいは単に加水とも呼ばれています。
この工程の目的は、酒のアルコール度数を下げることにありますが、醪(もろみ)ができた直後には、ほとんどの酒が20度近い度数となっています。アルコール度数が高いほうが腐敗の危険が少ないので、貯蔵・熟成もこの20度近い度数のまま行なわれますが、出荷するときには酒税法の規定との兼ね合いもあって、目的とするアルコール度数まで下げる必要が出てきます。
一方、割水をしないで、醪ができた時点のアルコール度数のまま出荷した酒のことを原酒といいます。